福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第35週分(平成18年8月28日〜平成18年9月3日)

ウエストナイル熱−蚊が媒介する感染症(その4)

今回は、蚊が媒介する感染症の最終回として、ウエストナイル熱のお話しをします。

ウエストナイル熱は、これまでアフリカ、ヨーロッパ、西アジアなどで、患者発生が報告されていましたが、1999年以降、米国でも流行がみられています。米国では、昨年1年間で、約3000人の患者、120人近くの死亡者が報告されました。

ウエストナイルウイルスは自然界においては、野鳥と蚊の感染サイクルで維持されています。ヒトはウエストナイルウイルスを持った蚊に刺されることにより感染します。通常、ヒトからヒトへの感染はありません。

ウエストナイルウイルスに感染しても、多くの人は無症状です。感染した人の約20%が、通常2から14日間の潜伏期の後、突然の発熱(39度以上)で発症します。3から6日間の発熱、頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振などの症状があり、約半数で発疹が胸部、背、上肢にみられます。症状は通常1週間以内で回復しますが、その後倦怠感が残ることも多くあります。このウイルスが脳に感染して、さらに重篤な状態が、ウエストナイル脳炎で、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などを示します。これら重症患者は、感染者の約1%にみられ、特に高齢の人は重症になりやすいといわれています。ウエストナイル熱に対する特効薬はなく、症状を軽減する治療が中心となります。

現在のところ、日本においては輸入症例があるだけで、国内感染の報告は、ありませんが、このウイルスを媒介する蚊は、イエカやヤブカなどで、これらの蚊は日本にも生息しています。

蚊は、バケツ、古タイヤなど、ちょっとした水溜りにも卵を産むので、蚊の発生を減らすためには、これらの水を空にするよう心がけましょう。また、蚊に刺されないようにするため、次のことに注意しましょう。
・ 夕方から夜明けまでの蚊の活動期には、屋外で過ごすことをなるべく避けましょう
・ 露出している皮膚には、蚊除け剤を使用しましょう
・ 戸外へでるときは、できる限り長袖、長ズボンを身につけましょう

その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。