福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第36週分(平成18年9月4日〜平成18年9月10日)

結核(前編) 〜結核予防週間(9月24日〜30日)〜

9月24日(日)から30日(土)は、「結核予防週間」です。そこで、今週、次週と2回連続で結核についてお話しします。

日本における結核の現状は、全国に広くまん延していた時代から、高齢者等、都市部を中心に患者が集中する時代に変化しています。ここ数年でみてみると、年間約3万人の新規結核患者が発生し、約2千人が亡くなっており、他の先進諸国と比べ、発生率、死亡率ともに高い状況です。福岡県においては、平成16年に新たに結核にかかった人は1295人、また結核で死亡した人は92人と報告されています。

結核は、結核菌によって主に肺に炎症をおこす病気です。結核菌は、重症の結核患者が、咳やくしゃみをした時に飛び散り、それを周りの人が直接吸い込むことによって感染します。通常は、身体の免疫機能が働いて、結核菌の増殖を抑えるため、結核に感染しても必ず発病するわけではありません。

結核の発病のタイプは2通りあります。1つは、感染に直接的に引き続いて起こるもので、感染して3ヶ月頃から発病し始め、半年から2年の間にほとんどが発病するタイプで、小児や若年者に多くみられます。受診や診断が遅れた結果、学校等で集団感染を起こすことがあります。もう1つは、感染してから長い期間が経過して発病するタイプで、中年期、老年期に多くみられます。昭和20年代まで、結核は今よりずっと流行していました。その時代を過ごした世代の人は、結核に既に感染している人が多く、加齢や糖尿病、大きな手術等で体力・免疫力が低下した時に、休眠していた菌が活動を再開し、発病することがあります。
 
結核の初期症状は、咳、痰、発熱、だるさや寝汗など、かぜによく似ていますが、軽症の時期には目立った症状がないことも結核の特徴です。病気がすすむと血痰や胸の痛みなどの症状が出てきます。2週間以上続く咳や痰、長引く倦怠感や微熱、体重減少、胸痛があるときは、結核も疑って早めに医療機関を受診しましょう。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。