福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第37週分(平成18年9月11日〜平成18年9月17日)

結核(後編) 

今週は先週に引き続き結核の話題で、特に結核の検査、予防、治療についてお話しします。

結核の検査は主に、胸部エックス線検査、喀痰検査、ツベルクリン反応検査があります。
胸部エックス線検査では、結核の発病の有無を判定します。喀痰検査は、痰の中の結核菌の有無や量を調べる検査で、結核の確定診断や人への感染性の強さなどを把握するために行います。ツベルクリン反応検査では、結核に感染したかどうかを判定します。結核に感染していると、接種部位が発赤、硬結します。ただし、過去のBCG接種の影響を受けますので、発赤の大きさや水泡ができるなど反応の強さや結核患者との接触の程度で感染の有無を判断します。最近では、血液検査で、過去のBCG接種の影響を受けずに、結核感染の有無を判定できるようにもなってきました。

乳幼児が結核に感染した場合は、命にかかわる重症の結核を発病しやすく、生命を危ぶむことさえあります。これを予防するのがBCGという予防接種です。BCGの定期接種は生後6ヶ月未満に行うことになってます。一生に一度だけの機会ですのできちんと受けましょう。

結核の治療は、現在は、有効な抗結核薬があり、3から4種類の薬を6から9か月服用するなど、以前と比べ短期間に治すことができるようになりました。治療により菌は激減しますので、きちんとした治療を始めれば、周りの人に感染させる危険性は、ほとんどの方が早期になくなります。また、痰の中に結核菌が出ていない軽症者は、通常、外来での治療となり、周りの人に感染させることもありません。

しかし、症状が消えたからといって、治療の途中で服薬を自己判断で勝手にやめてしまうと、菌が薬への抵抗力をつけ、以後、薬が効かなくなることがあります。医師の指示に従い、治療終了まで薬をきちんと飲みつづけましょう。

結核は、現在では、早期に発見すれば、治る病気であり、周りの人へ感染する危険も減らせます。そのため、咳、痰、熱、だるさ等、風邪に似た症状が2週間以上続いたときは、早めに医療機関を受診しましょう。単なるかぜと自己判断せず、「結核では?」と疑うことが大切です。

その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。