福岡県感染症発生動向調査情報

平成18年第42週分(平成18年10月16日〜平成18年10月22日)

ハンセン病

今週はハンセン病についてお話しします。

ハンセン病は、以前は患者が一家族内に現れることも多く、潜伏期間(感染から発病までの期間)が数年と長いことなどから、遺伝病と誤解されることもありましたが、今では、明治6年にノルウェーのハンセン医師により発見された「らい菌」という細菌による感染症であることがわかっています。

「らい菌」の感染力は非常に弱く、入浴・飲食などの日常生活で感染することはありません。また、感染しても発病することはまれです。実際、これまでハンセン病の療養所の職員にハンセン病になった人はいません。

ハンセン病は、皮膚や末梢神経がおかされ、症状として、外見上に特徴的な変形が生じたり、熱さ、冷たさ、痛みなどの感覚が麻痺するため、火傷や傷ができてもわからなかったりすることがあります。不治の病ではなく、現在では、いくつかの薬剤を併用する「多剤併用療法」等の適切な治療により完治し、早期に治療すれば、身体に障害を残すこともありません。

日本でのハンセン病対策は、明治40年の「癩予防ニ関スル件」によって開始され、この法律により、患者を一般社会から隔離するようになりました。この隔離政策は、平成8年の「らい予防法」廃止まで続き、長い間、ハンセン病を患った人々を苦しめてきました。また、この政策により、ハンセン病が、感染性の強い病気、恐ろしい病気という偏見や誤解が生まれました。法律が廃止されたといっても、人々が持っている偏見・誤解は今でも根強く残っていて、元患者の方やその家族の人達を苦しめています。

ハンセン病に対する偏見・差別の解消のためには病気に対する正しい知識と理解が必要です。11月7日(火)の13時30分から(13時開場)、都久志会館(福岡市中央区天神4−8−10)を会場にして、ハンセン病問題に関するシンポジウムが開催されます(参加無料)。この機会に、一人でも多くの方に、ハンセン病のことを知っていただければと思います。シンポジウムに関するお問い合わせは、福岡県健康対策課(092-651-1111 内線3137)まで。

その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。