11月、フィリピンからの帰国者が、現地で狂犬病ウイルスに感染し、国内で発症したことが、2例確認されました。そこで、今回は、狂犬病についてお話しします。
日本では、狂犬病は、1957年(昭和32年)以降、発生していません。また、海外で感染して、帰国後発症した患者も、1970年に1件あって以来、報告されていませんでした。今回の2例も、国内での感染ではなく、海外で犬に噛まれて感染しています。2人とも噛まれた後に狂犬病ワクチンを接種していませんでした。このようにアジア、アメリカ、ヨーロッパなどの海外では、今でも狂犬病が発生しており、WHO(世界保健機関)の報告では、年間5万5千人が狂犬病により死亡していると推計されています。
病名は、狂犬病ですが、地域によっては、犬以外にもネコ、アライグマ、キツネ、スカンク、コウモリなどが狂犬病になることがあり、人への感染源となっています。それら感染した動物に噛まれると、そのだ液に含まれる狂犬病ウイルスが体の中に入り、感染します。
通常1ヶ月から3ヶ月(1年以上の例も数%あると言われています)の潜伏期間のあとに発病します。初期には発熱や咬まれた部位にかゆみが出たりして、その後、数日で、不安感や興奮、錯乱などが起き、最後は、呼吸麻痺で死に至ります。発病してしまうとほぼ100%死亡します。
狂犬病の予防のために、次のことに注意しましょう。
1.海外渡航時
・犬やネコを、むやみになでたり、また野生動物に、むやみに手をだしたりしないようにしましょう。普通、野生動物は人間に近寄らないものですが、逆に警戒なく近寄ってきた場合は、この病気の可能性があります。
・狂犬病常在地で、危険動物に噛まれたら、まず傷口を、石鹸と水でよく洗い流し、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。狂犬病ワクチンの接種は、感染した後でも発病防止効果があります。
2.犬の予防接種
・ 今後も国内での発生を防止するため、飼い犬に必ず年1回、ワクチンの予防接種を受けさせましょう。
その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。
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