福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第15週分(平成19年4月9日〜平成19年4月15日)

麻しん(はしか)

現在、埼玉県、東京都など南関東地域で、子どもだけでなく、成人の麻しん患者の報告が増加しており、国立感染症研究所によると、麻しんの流行は更に進行する可能性が高いとみられています。現在、福岡県では、流行はみられていませんが、今後、注意が必要です。そこで、今週は、麻しんについてお話しします。

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによる、急性で感染力が非常に強い感染症です。
感染経路は、主に飛沫等による空気感染ですが、感染者の鼻やのどの分泌物に直接触れて感染することもあります。

感染後、潜伏期10日から12日を経て発症します。38度前後の発熱が2日から4日間続き、咳、鼻水、くしゃみなどの上気道炎症状と結膜炎症状が現れます。その後、一旦熱がやや下がったあと、半日位のうちに再び高熱が出るとともに、発疹が耳の後ろや額、首から出現し、翌日には顔面、体幹部、上腕におよび2日後には手足の先まで広がります。発疹は、はじめ鮮紅色ですが、まもなく皮膚面より隆起し、融合します。次いで、暗赤色となり、出現した順に退色し、色素沈着がしばらく残りますが、ほとんどが発症してから2週間程度で消えます。

なお、中高生等、比較的年長でワクチンを1度接種したにも関わらず、麻しんを発症することがあります。この場合は、潜伏期間が長くなったり、上記の典型的な症状がみられなかったりすることがあります。

麻しんの合併症としては、5歳以下あるいは20歳以上で多くみられ、下痢、中耳炎、肺炎が、数%におこると報告されています。また、脳炎が1,000例に1例程度報告されており、死亡率は約15%で、後遺症が25%に残るとされています。

1回目に接種したワクチンの効果を確実にするためにも、麻しんと風しんの定期予防接種は、1歳児と小学校就学前1年間(就学前年度4月1日から3月31日まで)の2回接種です。1歳の誕生日を迎えられた方や来年4月に小学校に就学される方は、麻しんと風しんの予防接種の対象となりますので、かかりつけ医と相談の上、予防接種を受けましょう。



その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。