福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第23週分(平成19年6月4日〜平成19年6月10日)

ポリオ(急性灰白髄炎)

今回は、ポリオ(急性灰白髄炎)についてお話しします。

日本におけるポリオは、1940年代頃から全国各地で流行が見られ、特に1960年には、5000名以上の患者が発生する大流行となりました。その後、ポリオワクチンの投与により流行は終息し、1980年の患者を最後に、現在、日本においては、野生株によるポリオは発生していません。

世界でも大部分の国で国内発生していませんが、ナイジェリア、インド、コンゴ民主共和国、パキスタン、ソマリア、ミャンマー等で発生が報告されています。

ポリオは、感染者の糞便または咽頭分泌液から排泄されるポリオウイルスの経口感染により感染します。潜伏期は、3から11日で、感染者のほとんどは無症状ですが、約5%に発熱、頭痛、咽頭痛、嘔吐などの感冒様症状がみられ、約1から2%に髄膜炎を、0.1から2%に四肢の非対称性の麻痺が生じます。麻痺は、下肢に多くみられ、知覚の障害はありません。また嚥下、発語、呼吸が障害されることもあります。多くの場合、麻痺は回復しますが、永続的な後遺症を残すこともあります。

ポリオに対する特異的な治療法はなく、対症療法が中心となります。予防として、ポリオワクチンがあり、現在、定期の予防接種として、生後3月に達した時から生後18月に達するまでの期間を標準的な接種年齢として、2回の経口生ワクチンの接種が行われています。

1975年(昭和50年)から1977年(昭和52年)生まれの人は、以前にポリオワクチンを接種していてもウイルスに対する抗体価が低いことが判明しており、これらの方や、ワクチン未接種の方は、ポリオ流行地への渡航の際や、極めて稀ですがポリオワクチン接種を受けた自分の子供からの感染を受ける可能性があり、かかりつけ医と相談の上、ワクチンの追加接種を受けることをお勧めします。


その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。