福岡県感染症発生動向調査情報

平成19年第27週分(平成19年7月2日〜平成19年7月8日)

デング熱

先月末、在シンガポール日本国大使館より、シンガポールでのデング熱流行状況について注意喚起が出されました。現在、東南アジア等の他の国でもデング熱の流行が報告されています。そこで今回は、デング熱のお話しをします。

デング熱は、デングウイルスを保有している蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど)に刺されることにより感染します。媒介する蚊の存在する熱帯・亜熱帯地域、特に東南アジア、南アジア、中南米において多くみられます。現在日本国内での感染はありませんが、海外からの帰国者から、例年全国で50例前後、県内でもこの2年間は1例ずつ報告されています。

通常4から7日の潜伏期の後、突然の発熱で発症し、頭痛、関節痛などを伴います。発症後3から4日後より、胸部、体幹からはじまる発疹が出現し、手足、顔面へ広がります。また、軽い皮下出血が現れることもあります。これらは、通常3から7日程度で消失し、回復します。

一方、一部の患者においては、発熱2から7日後に、皮下、鼻腔、歯肉などからの出血や、胸水や腹水がたまるといった、デング出血熱と呼ばれる重篤な病態をとることがあります。重篤な症状は、発熱が終わり平熱に戻りかけたときに起こることが特徴的です。ショックを伴った例では、適切な治療がなされないと死に至ることがあります。

デング熱には、予防接種や予防薬はありませんので、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防法です。防虫スプレーや蚊取り線香あるいは厚手の服の着用(長袖、長ズボン)によって予防することが大切です。

その他、詳細情報は、福岡県感染症情報(http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~idsc_fukuoka/)として、情報提供していますので、ご活用ください。