福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
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 近年、人為的な環境改変の影響で数多くの野生生物がその生息環境を失っており、福岡県内では、すでに56種が絶滅または野生絶滅したと考えられています(表1)。今後、希少な野生動植物の絶滅を回避し効果的に保全していくためには、それぞれの種が減少した理由を科学的に明らかにし、現在の生息環境を保全・再生していく必要があります。そのために必要な基礎情報となるものがレッドデータブック(RDB)です。福岡県では、2001年に初めて県版のRDBを作成し、希少種の生息状況や減少要因等を整理し公表しました。そして2011年には植物群落、植物、哺乳類、鳥類について、2014年には爬虫類、両生類、魚類、昆虫類、貝類、甲殻類その他、クモ形類等について、改訂版を公表しました*。福岡県RDB2011及び2014では、絶滅危惧種として1,010種、準絶滅危惧種として373種の動植物が選定されるとともに(表1)、89種類の植物群落が選定されており(表2)、国内の他地域と同様に、県内でも数多くの動植物が絶滅の危機に瀕しています。

 福岡県を中心とした九州北部地域は、全国的にも希少な動植物が多く分布しています。中でも、魚類ではセボシタビラやアリアケヒメシラウオ、アリアケスジシマドジョウ、軟体動物ではヤベガワモチ、甲殻類ではハラグクレチゴガニ、植物ではシチメンソウやウスギワニグチソウなどは、国内では九州北部地域にのみ分布する生物であり、大変貴重なものです。

 RDBに掲載されている動植物のうち、標高の高い山地森林に生育・生息するものが全体の26.1%と最も多く、次いで湿原・池が13.8%、低地森林が12.5%となっています(表3)。種によって絶滅の危機要因は異なりますが、山地森林では、針葉樹人工林(スギ・ヒノキ植林)の増加や、シカの食害による林床植生の悪化などが、生物に大きな影響を与えていると考えられます。また、湿原・池や低地森林は、農業の近代化や宅地開発などによって生物が減少していると考えられます。さらに近年では、人為的に持ち込まれた外来種による影響も無視できません。今後は、希少種の分布情報や生活史に関する科学的知見を蓄積し、人間活動と希少な動植物が共存するような対策を考えていく必要があります。

【参考リンク】
* 福岡県レッドデータブックホームページ
 http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/kankyo/rdb/


表1 福岡県RDB掲載種の分類群別の種数 
 


表2 福岡県RDB掲載群落のカテゴリー別の群落数
 


 表3 福岡県RDB掲載種の生息環境別の種数
 


 
 国内で九州北部地域にのみ分布する希少種
生物多様性
希少種