福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
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光化学オキシダントについて 環境科学部 大気課 専門研究員 濱村 研吾
 5月は運動会の季節です。しかし、オキシダントの濃度が高い季節でもあります。2007年には10年ぶりに 光化学オキシダント注意報が発令され、北九州市では5月27日に予定されていた市内85の小学校の運動会が 全て延期されました(表 2007年度以降に福岡県内で発令されたオキシダント注意報)。

オキシダント被害の歴史
 オキシダントの被害が初めて顕在化したのは、1940年代のアメリカのロサンゼルスといわれています。 当時のロサンゼルスは、盆地で大気汚染物質が滞留しやすい地形であるのに加え、産業の発展や自動車 台数の増加に伴う大気汚染物質排出量の増大など、オキシダントが高濃度になりやすい条件がそろって いました。後に、光化学反応によりオキシダントが生成することがわかり、「光化学スモッグ」と 呼ばれるようになりました。
 日本における初めての被害事例は、1970年7月、東京都杉並区の高校生が体育の授業中に目やのどの 痛みを訴えた事件で、このときは杉並区を中心に6000人以上の住民が被害を受け、大きな社会問題と なりました。

光化学オキシダントとは
 オキシダントのほとんどはオゾンであるため、大気汚染測定局ではオゾン濃度を測定してオキシダント 濃度としています。オゾンは成層圏にもオゾン層として存在しますが、対流圏では窒素酸化物とガス状 の有機化合物から紫外線による光化学反応で生成するため、「光化学」オキシダント(オゾン)といいます。 オゾンはガス状の有機化合物がなくても生成しますが、ある一定濃度以上にはなりません。しかし、 ガス状の有機化合物が存在すると、窒素酸化物とガス状の有機化合物が相互に触媒的な働きをして、 オゾン濃度が上昇します。

オキシダント濃度の上昇とその対策の困難さ
 オキシダント(オゾン)の生成に重要な働きをしている窒素酸化物とガス状の有機化合物 (図中は非メタン炭化水素)の削減が図られ、実際にこれらの物質の大気中濃度は減少しています。 しかし、オキシダント濃度は長期的には増加の傾向を示しています(図 全国の一般環境大気測定局に おけるオキシダント,二酸化窒素及び非メタン炭化水素の年平均値の推移)。オキシダント濃度の 増加にはいくつもの要因が絡んでおり、例えば、成層圏オゾンの減少による紫外線量の増加はオゾン の生成を促進するおそれがありますし、発展が著しい東アジアからこれまで以上にオキシダントや その原因物質が運ばれてくるおそれもあります。また、窒素酸化物とガス状の有機化合物の大気中 濃度のバランスがオゾンの生成に関係しているため、地域によって削減の対象物質が異なることや、 植物が出すガス状の有機化合物の存在がオキシダント対策をますます困難にしています。

 4月から9月は光化学オキシダント濃度が上昇しやすい時期です。PM2.5だけでなく、オキシダント の情報にも御注意ください。

大気環境に関する説明 http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/~taiki/Air-list/Air-list.html
福岡県の大気環境状況 http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/taiki-new/Jiho/OyWbJiho01.htm
携帯サイト http://www.fihes.pref.fukuoka.jp/taiki-new/Mjiho/OyWbJihMMenu.htm

表 2007年度以降に福岡県内で発令されたオキシダント注意報
表 オキシダント注意報

図 年平均値の推移
図 全国の一般環境大気測定局におけるオキシダント,二酸化窒素
  及び非メタン炭化水素の年平均値の推移(環境省資料から作成)

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