放射能とは、原子核が崩壊して放射線を出す能力のことです。物質は原子でできており、原子は原子核と電子から構成されていますが、原子核が放射線を放出して状態変化を起こすことを放射性崩壊と言います。主な原子核崩壊には、α崩壊、β崩壊、γ崩壊があります。崩壊にともなって、それぞれα粒子、β粒子、γ線が放出されます。全ての原子核が自発的に放射性崩壊を起こすわけではなく、一定の原子核だけが放射性崩壊を起こすが、この放射性崩壊を起こす能力を放射能と呼びます。
 放射能は、1896年にアンリ・ベクレルが発見し、マリ・キュリーにより命名されました。放射能と放射性物質と放射線とが混同されていますが、その意味は明確に異なります。放射能とは単位時間に崩壊する放射性物質の数のことであり、ベクレル(Bq)で表され、セシウム137が10万ベクレルといったとき、10万ベクレルがセシウム137の放射能であり、セシウム137が放射性物質です。そして放射性物質から放出されるのが放射線です。セシウム137はベータ線を放出して崩壊するので、ここではベータ線が放射線ということになります。放射性物質=放射能という意味でも用いられることも多いのですが厳密には別物です。
 放射性物質は不安定であるため、一定の確率で原子核崩壊を起こし、それにともない放射線が放出されます。放出された粒子や電磁波は高いエネルギーを持ち、このエネルギーは崩壊エネルギーと呼ばれます。崩壊エネルギーは最終的に熱エネルギーに変わります。この熱エネルギーを電気エネルギーに転換するしくみが原子力発電です。
 ウランやトリウムといった自然界に存在している原子核を天然放射性核種といい、核爆発や原子炉などの核反応で人工的に作り出されたプルトニウムやセシウムの一部の同位体の原子核を人工放射性核種と言います。
 同じ化学元素でありながら、質量数の異なる原子を、互いに同位体と言い、放射能を持つ同位体を放射性同位体と呼びます。同位体とは陽子の数が同じで、中性子の数が異なる原子核同士のことを言います。質量数とは陽子と中性子の和のことで、質量数から陽子数(原子番号)を引けば、中性子の数が得られます。例えばプルトニウム239の239が質量数であり、放射性同位体の名前は元素名+数字で言われますが、この数字が質量数です。プルトニウムの原子番号は94ですので、239-94=145、つまり145がプルトニウム239に含まれている中性子の数であると言えます。
 放射性同位体は、崩壊にともない一定時間に一定の割合ずつ(指数関数的減衰)量が減っていきます。ある放射性同位体の量が半分に減るまでにかかる時間は核種ごとに一定で、これを半減期と言います。半減期の長さは、1秒以下から数十億年のものまで様々です。
 放射性同位体は、その時点の量にも依存して一定期間に一定の割合ずつ壊変するため、同じ放射性同位体であっても、量に比例して放射能も強くなります。たとえば1億ベクレルの放射性同位体があった場合、半減期が経過すれば5000万ベクレルまで減少しますが、同じ放射性同位体が1万ベクレルあった場合は半減期が経過しても5000ベクレルにしか減らず、同じ半減期がたっても前者は5000万ベクレルも減っているのに、後者は5000ベクレルしか減らないということです。
 放射能は直接測定することは難しいので、放射線の数やエネルギーを測定して、間接的に放射性物質の量が求められます。
α線の測定には、液体シンチレーションカウンタや硫化亜鉛シンチレーション検出器、半導体検出器が用いられます。
γ線の測定には、Ge半導体検出器やNaIシンチレーションカウンタが用いられます。
β線の測定には、ガイガー=ミュラー検出器が用いられます。
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