[1]日本の外来種対策
   http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html
[2]外来種被害防止行動計画
   http://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/actionplan.html
[3]生態系被害防止外来種リスト
   http://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/iaslist.html
[4]福岡県内で確認された特定外来生物
   http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kennaikakuninngairai.html
[5]外来種について〜外来生物法と侵略的外来種リストと防除マニュアル〜
   http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/sinryakugairai.html
[6]特定外来生物「ヒアリ」及び「アカカミアリ」に関するお知らせ
   https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/tokuteigairaiarirui.html
[7]特定外来生物「セアカゴケグモ」に注意してください。
   https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/seakagokegumo.html
[8]外来種防除リーフレットを作成しました〜特定外来生物の駆除にご協力ください〜
   https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/tokuteigairai-kujyo.html
 また、外来種は、一度定着してしまうと防除が容易ではないため、新たに侵入してきた侵略的外来種を早期に発見し、定着する前に駆除することが最も重要です。そのため、当所では外来種の定期的なモニタリングや環境DNA(環境中に放出された生物に由来するDNA)を用いた侵略的外来種の検出に関する調査研究を進めています。
 参考文献および参考リンク

アライグマを例とした福岡県侵略的外来種防除マニュアルの解説ページ
 これらの侵略的外来種のうち、定着予防外来種であるヒアリ等(ヒアリ、アカカミアリ)は、港湾のコンテナヤードや海外からのコンテナ等からたびたび発見されています。今後も海外から侵入する可能性が高いことから、ヒアリ等に関する正しい情報を広く周知するとともに、国や県、市町村、県民、関係事業者等の各主体が一体となってヒアリ等の対策に取り組むことが重要であり、2018年7月に「福岡県ヒアリ等対応マニュアル」[6]を策定しました。この他、ゴケグモ属の口咬被害防止リーフレット[7]やオオキンケイギク、アレチウリ、ブラジルチドメグサの防除リーフレット[8]を作成し、外来種防除の普及啓発活動を行っています。さらに、2022年3月には、県の重点対策外来種20種を対象とした「福岡県侵略的外来種防除マニュアル2021」[5]を作成しました。このマニュアルは、侵略的外来種の防除に関する基本的考え方や外来種防除を行う際の留意点などを概説するとともに、各種のページでは、類似種との見分け方や防除方法について説明しています。防除方法は、最新の知見や全国の防除事例、当所で実施した防除手法に関する研究成果などを整理し、より効果的な方法と考えられるものについて説明しています。
(2023年3月31日更新)

福岡県侵略的外来種リスト2018の表紙

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 外来種の対策には、多くの費用・時間・労力が必要になるため、被害が起こらないように未然に予防することが非常に大切です。予防を行うためには、私たち一人ひとりが、「外来種被害予防三原則:入れない・捨てない・拡げない」を意識して生活することが必要不可欠になります。つまり、生態系や人間活動に悪影響を及ぼす可能性がある外来種を地域に「入れない」、ペットとして飼っている動物や観賞用として植えている植物は「捨てない」、一度地域に定着してしまった外来種はまわりの地域に「拡げない」ための対策を行う、ということが大切なのです。

 私たちにできること
 福岡県では、外来種による被害防止の啓発及び防除活動を促進するための取組を進めています。例えば、子どもたちにも理解できる普及啓発パンフレットの作成や、県民参加型生きもの調査における外来種の観察などを行っています。また、優先的に防除すべき侵略的外来種を明確にすることで、効果的・効率的な防除対策が促進されるように、2018年4月に「福岡県侵略的外来種リスト2018」[5]を策定しました。
 この侵略的外来種リストには、県内に定着している侵略的外来種として275種(動物95種、植物180種、亜種・変種を含む)が掲載されています。これらの侵略的外来種は、被害の甚大性や対策の実行可能性・実効性等を踏まえて対策の優先度を決定し、以下の3つに区分しています。また、現状では県内に定着していないものの、今後そのおそれが高いと考えられる侵略的外来種については、定着を予防すべき侵略的外来種として掲載しています。
 1)福岡県に定着している侵略的外来種
   ・重点対策外来種:20種(動物10種、植物10種)
   ・要対策外来種:139種(動物51種、植物88種)
   ・要注意外来種:116種(動物34種、植物82種)
 2)福岡県に定着していないが、そのおそれが高いと考えられる侵略的外来種
   ・定着予防外来種:29種(動物21種、植物8種)

 外来種に対する県の対策
 福岡県における外来種の現状
 国における外来種対策
 外来種とは
 福岡県では、2022年4月時点で、23種類(25種)の特定外来生物が確認され[4]、そのうち17種類(18種)は定着が確認されています。定着が確認されている種は、動物ではアライグマ、ガビチョウ、ソウシチョウ、ウシガエル、カダヤシ、オオクチバス、ブルーギル、ゴケグモ属(セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ)の計8種類(9種)、植物ではナガエツルノゲイトウ、アレチウリ、オオフサモ、ブラジルチドメグサ、オオカワヂシャ、オオキンケイギク、ナルトサワギク、ミズヒマワリ、ボタンウキクサの計9種です。これらのうち、アライグマやセアカゴケグモ、ナガエツルノゲイトウやブラジルチドメグサなどは分布が急速に拡大しており、対策が急がれています。また、特定外来生物に指定されていない種であっても、アカミミガメ、アメリカザリガニ、マツノザイセンチュウ、オオブタクサ、ホテイアオイのように、県内の在来生態系に悪影響を与えると考えられる生物も多く生息・生育しており、対策が必要になっています。
 
 福岡県で確認されている特定外来生物(ツマアカスズメバチは未定着)


 また、一般的に問題を引き起こす外来生物というと、海外から持ち込まれた生物が想像されますが、近年では、国内の他地域から持ち込まれた生物、すなわち「国内由来の外来種」も問題になりつつあります。例えば、筑後川や矢部川では、琵琶湖淀川水系から持ち込まれた淡水魚のハスが増加し、アユやオイカワなどを捕食していることが報告されています。
 
矢部川水系のハスとその胃から検出された在来水生動物



 国の外来種対策の一つとして、2005年6月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)[1]」が施行されました。この法律は、海外起源の外来種の中でも、生態系や人の生命・身体、農林水産業への被害が大きいものについて、輸入や飼育等を制限する法律です。特に被害が大きい外来種の中から特定外来生物が指定され、無許可での飼育・栽培、生きたままの運搬、放流・放逐などが禁止されています。2020年12月時点で、156種類の動植物が特定外来生物に指定されています。また、特定外来生物とは別に、被害が生じる疑いがある、または実態がよく分かっていない海外起源の外来生物は「未判定外来生物」に指定され、輸入する場合は事前に主務大臣に届出を行う必要があります。

2022年5月には、ヒアリ対策の強化、アカミミガメやアメリカザリガニ対策のための規制手法の整備、各主体による防除の円滑化を目的とした改正外来生物法が成立し、施行に向けた手続きが進められています。ヒアリ対策の強化内容としては、ヒアリ類(ヒアリ、アカカミアリを含む4種群 23 種及び各種間の交雑種)を「要緊急対処特定外来生物」に指定することで、ヒアリ類疑い(種同定が確定していない)段階での移動禁止措置や通関後も検査や廃棄・消毒命令等が出せるようになります(2023年4月1日施行予定)。また、アカミミガメ及びアメリカザリガニを「条件付特定外来生物」に指定し、輸入・販売・野外への放出等を禁止する一方で、一般家庭等での飼養や無償での譲渡し等については、従来どおりできるようにします(2023年6月1日施行予定)。

 一方、2015年3月には、外来種問題の深刻化を背景に、日本における外来種対策の総合戦略として「外来種被害防止行動計画[2]」が策定されました。本計画では、外来種問題の概要や、対策の基本的な考え方、国・地方自治体などの各主体の役割と行動指針について取りまとめられています。また、外来種の中でも特に悪影響の大きい種類を明確にするため、本計画と同時に、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)[3]」が公表されました。このリストには429種類の動植物が掲載されており、国内での定着状況や第一次産業における利用状況などを踏まえ、以下の3つに区分されています。
 ・定着を予防する外来種(定着予防外来種):101種類
 ・総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種):310種類
  (総合的に対策が必要な外来種は、対策の優先度の高さによって、緊急対策外来種・重点対策外来種・その他の総合対策外来種の3つに細区分されています)
 ・適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種):18種類



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 外来種とは、もともとその地域にいなかった生物のうち、他の地域から意図的・非意図的を問わず、人為的に持ち込まれた生物のことを言います。一方で、その地域にもとから生息・生育していた生物を在来種と言います。外来種のうち一部の種類は、侵略的外来種と呼ばれ、捕食や競合などによる生態系への悪影響、交雑による遺伝子のかく乱、農林水産物の食害などによる人間活動への被害をもたらしています。


生物多様性
外来種