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福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
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水道水に関する「水質基準に関する省令(平成15年5月30日厚生労働省令第101号)」において、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)に係る水道水質基準が新たに設定され、令和8年4月1日に施行されます。
Q1 「PFOS及びPFOA」ってなあに?
A1 「PFOS及びPFOA」は水や油をはじく特性をもつ有機フッ素化合物(PFAS)の1種で、これまでに様々な用途で使用されてきました。具体的には、PFOSは金属メッキ処理剤、泡消火薬剤などに、PFOAはフッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤などに使われてきました。日本国内では、それぞれ平成22年及び令和3年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」の第一種特定化学物質に指定され、製造・輸入等が原則禁止されました。このため、国内で新たに製造・輸入されることは原則ありませんが、主に過去に様々な形で環境中に排出されたものが公共用水域(河川・湖沼・海域)や地下水等から検出されることがあります。
Q2 「PFOS及びPFOA」の何が問題なの?
A2 難分解性・長距離移動性という特徴から環境汚染への影響が考えられ、さらに高蓄積性であることから人の健康への影響が懸念されています1)。

図1 体内での蓄積期間2)
Q3 「PFOS及びPFOA」はどのようにして、体内に入ってくるの?
A3 呼吸や皮膚接触よりも食事による摂取が主な経路と考えられています3)。

図2 体内への摂取経路3)
Q4 水道水質基準値が50
ng/Lとなったがその根拠は?
A4 内閣府食品安全委員会がとりまとめた評価書において、PFOS、PFOA
それぞれについて、TDI(耐容一日摂取量)として20
ng/kg体重/日が示されていることを踏まえて、我が国の水道水の水質基準値等の設定で通常用いられている体重50
kg、一日当たり摂取量2L、また、水道水の割当率については10%を用いると、以下の計算式から50
ng/Lとなりました4)。
TDI[ng/kg/day]×体重[kg]/一日当たり摂取量[L/day]×水道水の割当率[%]
=20×50/2×10%
=50[ng/L]

図3 水道水質基準値の概念(PFOS及びPFOAの場合)2)
Q5 これまでは基準はなかったの?
A5 基準値としてはありませんでしたが、令和2年に水道水の「水質管理目標設定項目」に位置付けられ、暫定目標値として50
ng/Lが設定されました。この「水質管理目標設定項目」では、水道事業者等に対して水質基準に準じた検査等の実施に努め水質管理に活用するに留まるものでしたが、「水質基準」が設定されたことで検査等の遵守義務及び検査義務が課せられることになります4)。
Q6 暫定目標値(50
ng/L)を超えている水道水はあるの?
A6 全国の水道事業者等が実施した事業の水道水質検査において暫定目標値を超過した事業数を図4に示します。この調査結果を受けて、令和5年度までに暫定目標値を超過したことのある全水道事業に対し、当該水源からの取水停止、水源切替え、活性炭による処理等の措置を行い、令和5年度の9月末時点では調査した全水道事業で暫定目標値を下回りました5)。

図4 全国の水道事業者等が実施した事業の水道水質検査結果(暫定目標値を超過した事業数)5)
参考資料
1)
https://www.env.go.jp/water/pfas/faq002.html
2)
https://www.env.go.jp/content/000310449.pdf
3)
https://www.env.go.jp/water/pfas/faq007.html
4)
https://www.env.go.jp/content/000334172.pdf
5)
https://www.env.go.jp/water/pfas/faq010.html

