福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
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食品ロス削減に向けた取組み
環境科学部 廃棄物課 研究員 大石興弘
「食品ロス」とは 
 食文化の発達とともに、我々の周りには多種多様な食材、食品が溢れています。しかし、反面、食品の製造・加工・流通・消費などの際に廃棄される食品も多く、廃棄物処理法における食品廃棄物(事業系廃棄物、家庭系廃棄物)は年間約1700万トンと推計されています。その中で、製造過程(規格外等)、流通過程で、賞味期限、消費期限内等食べることができるにもかかわらず廃棄される食品、また外食産業、家庭では食べ残し、使われずに捨てられる食品が多くあります。このような可食部分と考えられる廃棄物を「食品ロス」と言います。 食品ロスは、食品廃棄物の概ね3分の1、約600万トンとされ、事業系(食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業)と家庭系でほぼ同程度の廃棄量となっています。家庭における一人当たりの食品ロスは、1年間で約23 kgと試算されています。食品ロスについては、一方で食料を必要としている人もいますし、また小売価格の上昇、廃棄処理コスト、環境への負荷等の問題があります。最近このような無駄を減らし、活用するため @食品リサイクル Aフードバンク活動 B外食産業や家庭での意識改善 等様々な取組みがなされています。



 
 図  食品廃棄物等の利用状況等(平成25年度推計)概念図
  (農林水産省:食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制(参考資料1))

(1) 食品リサイクル
  食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)が平成13年5月に施行され、食品廃棄物の発生抑制、減量化とともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用する等、食品関連事業者(製造、流通、外食等)は食品循環資源の有効利用を図ることになっています。 食品循環資源の再生利用等として、飼料・肥料・炭化の過程を経て製造される燃料及び還元剤・油脂及び油脂製品・エタノール・メタンとして再生利用、また熱回収、減量化(乾燥・脱水・発酵・炭化)があります。食品リサイクル法では食品循環資源の再生利用等を促進するため、平成31年度までに再生利用等の実施率を、食品製造業95%、食品卸売業70%、食品小売業55%、外食産業50%とする目標値が設定されています。平成26年度の再生利用等の実施率は図に示すようになっており、各流通過程でリサイクルが進められています。

図 食品産業における食品循環資源の再生利用等の実施率(平成26年度)
(農林水産省:食品循環資源の再生利用率等実施率(参考資料2)

(2) フードバンク活動
  「フードバンク」とは、食品関連事業者や個人などから、品質には問題がないものの、包装不備、規格外など市場での流通が困難で、従来は廃棄されていた食品の提供を原則として無償で受け、生活困窮者などに配給する活動及びその活動を行う団体(NGO・NPO等)のことです。この活動は食品ロス削減、生活困窮者への支援となり、企業には社会福祉への貢献になります。フードバンクは、企業等に対する食品提供の働きかけ、食品提供企業とのネットワークの構築、提供食品の保管・配送ルート、生活困窮者支援団体との協働等の活動を行っています。しかし、まだ食品の管理体制等運営上の課題があります。福岡県には3団体のフードバンクが活動しており、県も普及、促進に向けて、団体、企業、県民が安心してフードバンク活動に参加し、利用できる取組みを行っています。

(3) 外食産業・家庭での取組み
 前述したように、食品廃棄物のほぼ半分を家庭系が占めています。外食産業では調理工程等での廃棄、食べ残し、家庭では食べ残しや賞味期限・消費期限を過ぎた等使用されずに廃棄されたものです。外食産業では食べきり運動(30・10運動:宴会等で開始後30分間と終了前10分間は離席せずに食事を食べきる運動)、小盛メニューの提供、家庭では、「買った食品を使い切る」ために、買い物前の冷蔵庫チェック、食材を使い切るエコクッキング、また「食品を食べきる」ための《もったいない》意識啓発活動がなされています。 県ホームページ等で、食品ロス削減に取組む飲食店、宿泊施設、食料品店を登録し、その取組み「食べ物余らせん隊」を広く紹介するとともに、食品ロスに関する情報発信、パンフレット等啓発に努めています。

 その他、3分の1ルール(賞味期限を3等分し、納品期限や販売期限を小売店などが設定する商習慣)の改善、賞味期限を延ばす製造技術の向上も求められています。食品ロスは、廃棄物問題の中で最も身近なものであり、無駄を無くすために食品産業とともに家庭での取り組み、各個人の削減意識によって食品ロスを減らすことができます。


【参考文献】
〔1〕食品ロスの削減・食品廃棄物の発生抑制(農林水産省ホームページ)
     http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/shoku_loss/
〔2〕平成26年度食品廃棄物等の年間発生量及び食品循環資源の再生利用等実施率(推計値)
    (農林水産省ホームページ)
     http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syokuhin/pdf/h26_zentai_suikei.pdf
〔3〕フードバンクについて(福岡県ホームページ)
     http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/food-bank.html

 
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