感染性胃腸炎 流行発生警報


 福岡県において、感染性胃腸炎の報告数が増加しています。
 十分注意が必要ですのでお知らせします。

1.最近の感染性胃腸炎の流行状況

 感染性胃腸炎の報告数が増加してきました。

 感染性胃腸炎は、現在、県内120医療機関から報告をいただいていますが、
 平成19年第48週(11月26日〜12月2日分)の一定点医療機関あたりの報告数が
 26.71となり、流行発生警報の開始基準の20を超えました。

 地域別では、定点当たりで筑後地区(34.04)、北九州地区(26.38)、
 福岡地区(26.06)、筑豊地区(17.71)の順となっています。

 

 グラフ 福岡県の感染性胃腸炎の発生状況
 

2.感染性胃腸炎とは

 急に発症する腹痛、嘔吐、下痢の症状を呈するもの。

 原因病原体としては、カンピロバクター属・サルモネラ属・腸炎ビブリオなどの細菌、
 ノロウイルス・ロタウイルスなどがあります。

 夏季は腸炎ビブリオ、冬季はロタウイルス(乳幼児)、秋から春にかけてはノロウイルスが多く検出されます。

3.ノロウイルスとは

 人の小腸粘膜で増殖するウイルスで、特に11月から3月にかけて胃腸炎を起こします。
 また、感染経路はほとんどが経口感染で、次のようなことが考えられます。

 @ 汚染された貝類を、生あるいは十分に加熱調理しないで食べた場合
 A 食品を取り扱う者が感染し、その者を介して汚染した食品を食べた場合
 B 患者のノロウイルスが大量に含まれる糞便や嘔吐物から人の手などを介して二次感染した場合
 C 家庭や共同生活施設などの人同士の接触する機会が多いところで人から人へ飛沫感染等直接感染する場合
 D ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合

 ※最近、吐物や便に含まれたノロウイルスは、乾燥すると容易に空中に漂い、
  これが口に入って感染することがあると言われており、この経路が疑われる感染が多く報告されています。

4.ノロウイルスの症状は

 潜伏期間(感染から発症までの時間)は24〜48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度です。
 通常、これら症状が1〜2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。
 また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。

5.感染予防のポイント

 @ 感染症の最も有効な対策は手洗いです。トイレを使用した後、調理の前、食事の前には必ず手洗いをしましょう。
 A 部屋やトイレで吐いた場合は、部屋の換気を十分に行いながら、吐物を拭き取り、拭き取ったあとを
   次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取り、その後水拭きしましょう。

6.感染性胃腸炎にかかった場合

 @ 体力の弱い乳幼児や高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。
 A 脱水症状がひどい場合は、病院で輸液を行うなどの治療が必要になりますので、かかりつけ医等に受診しましょう。

© Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences.