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福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
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写真2 ドラッグ検体写真 カチノン系化合物含有製品
図1 AM2201構造式
写真1 ドラッグ検体写真 合成カンナビナイド含有製品
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トピックス
最近、「脱法ハーブ」や「合法ハーブ」等と呼ばれる違法ドラッグの問題が表面化し、関心を集めています。昨年頃から、いわゆる脱法ハーブを吸引後に死亡したり、意識を失ったりして救急搬送される事例が全国的に数多く報告されています。福岡県でも平成23年1月から24年1月の間に18名が救急搬送されました(県警調べ)。また今年1月には、当研究所で検査した違法ドラッグから指定薬物が検出され、県薬務課が小倉北警察署に対して薬事法違反で告発をおこないました[1]。
1. 違法ドラッグとは
違法ドラッグとは、指定薬物を含有する物、及び麻薬や覚醒剤と類似の有害性が疑われる物であって専ら人に乱用させることを目的に販売等されている物の総称です(写真1)[2]。覚せい剤等の乱用の契機ともなることから、「ゲートウェイドラッグ(入門薬)」とも呼ばれています。古くはマジックマッシュルームや5-MeO-DIPTも違法ドラッグとして流通していましたが、いずれも現在は麻薬(麻薬原料植物)に指定されています。違法ドラッグは所持や使用が法律で禁止されていないため、麻薬や覚醒剤に比べて作用が弱く安全だと誤解されることもあるようですが、麻薬等に類似した化学構造を持っており、それらと同等かそれ以上の作用を持つ危険な物質です。
2. 指定薬物制度
薬事法が改正され、平成19年4月1日から違法ドラッグとして乱用されるおそれのある一定の物質が指定薬物として規制されており、医療等の用途を除いて輸入や販売、広告等が禁止されています。平成19年4月に31物質が規制されてから、1年に1〜2回のペースで追加され、現在68物質が指定薬物に指定されています[3]。指定薬物を化学構造から分類すると、トリプタミン系、フェネチルアミン系、カチノン系、ピペラジン系、亜硝酸エステル類、合成カンナビノイド及びその他の化合物に分けられます。
保健科学部 生活化学課 主任技師 新谷依子
違法ドラッグに対する取り締まりを強化します
写真3 指定薬物が検出された商品