福岡県保健環境研究所
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水生生物保全水質環境基準項目について
表1 水生生物保全水質環境基準
図2 ノニルフェノールの生成過程
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環境科学部 水質課 主任技師 藤川和浩
 水生生物保全水質環境基準とは、水生生物の保全を目的にした水質環境基準です。
 従来の水質環境基準は、「人の健康の保護」や富栄養化など「生活環境の保全」に支障となるおそれのある物質について設定されました。しかし、水生生物の減少や生物多様性の減少が各地で見られるようになるにつれ、「健全な生態系の維持・再生」、「良好な水環境の保全」のためには、水生生物への影響も考慮した基準が必要であると認識されるようになりました。
 欧米では、水生生物保全の観点から水質目標が早くから設定されていましたが、日本では、2003年11月に「水生生物の保全に係る水質環境基準」が告示され、全亜鉛についてのみ基準値が設定されました。全亜鉛に関する基準値は、水域毎に類型指定(河川、湖沼及び海域のそれぞれに、利水目的に応じて2つ以上の水域類型(ランク付け)を定めること)が必要となることから、2006年6月に、国が類型指定を行うことになっている47水域のうち、淡水域を4つ、海域を2つの水域に分類し、水域類型ごとに基準値が示されました(表1)。
 また同時に、都道府県に対して、都道府県が行う水域類型指定事務の処理基準が通知され、全亜鉛以外に要監視項目としてクロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒドの3項目については指針値が設定されています。保健環境研究所では、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に起因する東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、環境放射線モニタリングの強化を行って来ました(保環研ニュース第72号参照)。ここでは平成24年度以降に福岡県が行っている取り組みについて紹介したいと思います。

【ノニルフェノール (NP)の追加】
 
近年、ノニルフェノールについて、新たな毒性情報が明らかとなったことから、今年の3月に淡水域(河川・湖沼)の4つの類型で0.6〜2 μg/L以下、海域の2つの類型で0.7〜1 μg/L以下とする水質目標値が示され、水質環境基準項目への追加が答申されました。これを踏まえ、8月22日に全亜鉛に続く環境基準項目として告示、施行されました。
 水環境中で検出されるノニルフェノールは、ノニルフェノールが環境中に排出されたものと、非イオン系界面活性剤であるノニルフェノールエトキシレート(NPmEO)として排出されたものが、微生物により環境水中で分解過程を経て副生成したものとがあることが知られています(図1)。
 ノニルフェノールエトキシレートの用途は工業用の洗浄剤、分散剤としてゴム・プラスチック・繊維工業、機械・金属工業、農薬工業などで使われていて、ノニルフェノールは、多数の異性体(理論上211種)が存在しており、微生物分解性は低く、また環境ホルモンとしての疑いが持たれています。
総務課