福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences
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   大気環境
PM2.5(微小粒子状物質)について
  1.PM2.5とは
 大気中に漂う粒径2.5µm(1µm=0.001mm)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準に 定められている粒径10µm以下の粒子である浮遊粒子状物質(SPM)よりも小さな粒子です。
PMの大きさ模式図(出展: USEPA) PM2.5の大きさ写真(出展: 東京都)
【ここポイント!】
 SPM(10µm以下)とPM2.5(2.5µm以下)とでは「以下」の意味が異なります。 観測機器に取り付けられた粒子のふるい分けで、SPMの「10µm以下」は10µm以上の粒子は 含まれません。PM2.5の「2.5µm以下」の意味は「2.5µm粒子を50%カット」 となり、2.5µmの粒子が100あった場合、50は取り込まれ、50は除外されます。捕集効率曲線を 見ると割合は少ないのですが2.5µm以上の粒子も一部含まれることになります。
 また、粒子の密度を1と仮定した場合のふるい分けになるため、密度が大きい鉱物などの粒子は 実際の大きさよりも大きい粒子として取り扱われます。反対に密度が小さい花粉や綿のような粒子は 実際の大きさよりも小さい粒子として取り扱われます。
石炭を燃焼する工場排ガスに含まれる粒子 大気中で形成、浮遊する硫酸アンモニア粒子 ディーゼル自動車から排出されるカーボン粒子
環境大気中粒子状物質の粒径分布(Wilson and Suh, 1997 を引用・和訳)
SPMとPM2.5の捕集効率曲線(国立環境研究所)
粒子状物質の粒径分布(出典: Witby 及び朝来野論文を引用))
  2.環境基準は
 環境基本法第16条第1項に基づく人の健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましい水準として 以下のとおり環境基準を定められています。
 1年平均値 15µg/m3以下 かつ 1日平均値 35µg/m3以下  (平成21年9月設定)
 この環境基準値は、呼吸器疾患、循環器疾患及び肺がんに関する様々な国内外の疫学知見を基に、専門委員会に おいて検討したものです。
【ここポイント!】
 PM2.5は光化学オキシダントやSPMのように1時間値の環境基準はありません。また、 1日平均値が環境基準を超過したかどうかは、98パーセンタイルと呼ばれる評価方法で判断されます。 なお、1日平均値「かつ」年間平均値ということで両基準ともクリアしなければなりません。
 ステップ1
24時間の濃度測定のうち、20時間以上の数値が有効であれば1日平均値として評価します。

ステップ2
年間のうち250日の有効日数があれば評価の対象とします。

ステップ3
98パーセンタイル値を計算します。年間の有効観測日の最低値を第1番目として、値の低い 方から高い方に順に並べたとき、低い方(最低値)から数えて98%目に該当する日平均値です。
例えば、365個の日平均値が有効である場合の98%値は、低い方から数えて98%目に該当する 第358番目の日平均値です。
  3.発生源は
 粒子状物質には、物の燃焼などによって直接排出されるものと、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、 揮発性有機化合物(VOC)等のガス状大気汚染物質が、主として環境大気中での化学反応により粒子化した ものとがあります。発生源としては、ボイラー、焼却炉などのばい煙を発生する施設、コークス炉、鉱物の 堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車、船舶、航空機等、人為起源のもの、さらには、土壌、海洋、 火山等の自然起源のものもあります。
 これまで国や自治体で取り組んできた大気汚染防止法に基づく工場・事業場等のばい煙発生施設の規制や 自動車排出ガス規制などにより、SPMとPM2.5の年間の平均的な濃度は減少傾向にあります。
PM2.5生成のメカニズム(出展: 国立環境研究所) PM2.5質量濃度の推移(平成13~22年度)(出展: 微小粒子状物質等曝露影響実測調査)
  4.構成成分は
 環境省が実施した平成16年から20年度の結果によると、硫酸イオン(SO42-)が 25~29%で最も多く、次いで有機炭素(OC)が16%、アンモニウムイオン(NH4+)が 11~12%、元素状炭素(EC)が10~11%、硝酸イオン(NO3-)が7~13%となっており、 以上の5成分で全体の73~78%を占めることが分かっています。
非都市部、都市部及び自排局におけるPM2.5の成分割合(平成16~20年度)・出展: 環境省)
【ここポイント!】
 年間を通じて常時同じ割合ではなく、例えば黄砂観測時には土の成分であるカルシウムイオン (Ca2+)が多くなり、野焼きなど近くで燃焼されるとカリウムイオン(K+) が多くなることがあります。
  5.人体への影響は
 PM2.5は粒径が非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、 肺がん、呼吸系への影響に加え、循環器系への影響が懸念されています。環境省の専門家会合が暫定的な 指針値として70µg/m3を設定したことに伴い(平成25年2月27日)、県は注意喚起を行う こととしました。
人の呼吸器と粒子の沈着領域(概念図)(出展: 環境省) PM2.5注意喚起のための暫定的な指針(出典:環境省)
【ここポイント!】
 環境基準として告示されましたが、この細かな粒子が生体内でどのように悪影響を及ぼすのか、 粒子に付着した一部の有害成分が影響するのか、複合することによって相乗効果で影響するのか、 まだ明らかになっていない部分があり更に検討が続けられることになっています。
  6.農作物への影響は
 PM2.5の主成分は「4. 構成成分は」で示した通り、イオン同士が結合した(硫酸塩や硝酸塩などの) 塩類です。これらは水に溶けやすいので水で洗えば取り除くことができます。もし食べ物を通して口から体内に 入っても量的にはきわめて少なく、また、病原菌やウィルスのように増殖しないので心配する必要はありません。
  7.福岡県の取り組み
【通常観測】
 福岡県では平成25年2月5日からPM2.5の自動測定機による観測を開始し、 県のホームページ で濃度を公開しています。また、平成25年度からは福岡県内の複数地点で季節ごとの観測を行い、 成分濃度を明らかにする予定です。 この結果を踏まえ、国と連携してPM2.5対策を検討しています。

【研究】
 研究所として平成22〜24年度に「微小粒子(金属類及び有機化合物等)による越境大気汚染の影響評価」 という研究テーマを設定し、取り組んでおります。 また、平成25〜27年度は「福岡県における微小粒子状物質(PM2.5)濃度の実態把握と影響評価」 という研究テーマを予定しております。

 国立環境研究所と地方環境研究所との共同研究(Ⅱ型共同研究)に参画し、 平成22〜24年度「 PM2.5と光化学オキシダ・E塔gの実態解明と発生源寄与評価に関する研究 」、 平成25〜27年度は「PM2.5の短期的/長期的環境基準超過をもたらす汚染機構の解明」を行っています。
 日韓海峡沿岸環境技術交流事業において、 平成23〜25年度「 微小粒子状物質(PM2.5)に関する広域分布特性調査 」をテーマとして、山口県、佐賀県、長崎県とともに韓国(全羅南道、慶尚南道、釜山広域市、済州自治道) と共同調査をしています。

 外部研究費として環境省環境研究総合推進費(平成23〜25年度)を獲得しました。 研究課題名は「 全国の環境研究機関の有機的連携によるPM2.5汚染の実態解明と発生源寄与解析 」(研究代表者:国立環境研究所 菅田誠治氏)で、当研究所はサブテーマ5 「西日本におけるpm2.5の越境汚染と地域汚染の複合影響の解明」を担当しています。
  8.関連情報(リンク)

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