1 デング熱とはどんな病気ですか?
デング熱とは、デングウイルスに感染した蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)に刺されることによっておこる感染症です。熱帯・亜熱帯地域で流行が見られます。日本国内では、60年以上感染の報告がありませんでしたが、今年に入り感染が報告されました。デングウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属に属し、4種類の血清型に分けられます。どの型に感染しても、現れる症状は同様で、症状から型を判別することはできません。
2 どんな症状が出るの?
デングウイルスに感染しても症状が出ないことも多くあります(不顕性感染)。症状が出る場合、蚊に刺されてから2日〜15日(多くは3日〜7日)の潜伏期間を経て、発熱・頭痛・筋肉痛や発疹が現れます。1週間ほどで熱が下がり予後は良好です。しかし、希に症状が重いデング出血熱になることがあり、適切な治療がなされないと死に至る場合があるため注意が必要です。蚊に刺されて発熱などの症状が出た場合は、医療機関を受診しましょう。
3 病原体と感染経路は?
デングウイルスに感染した蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)に刺されることによって感染が成立します。ウイルスに感染したヒトの血を蚊が吸うと、蚊の体内でウイルスが増え、 その蚊が他のヒトの血を吸うことでウイルスが感染します(蚊媒介性)(図1)。ヒトからヒトに直接感染することはありません。
図1 デングウイルスの感染経路
4 治療はどうするの?
デング熱及びデング出血熱に対する特別な治療薬・治療法はありません。症状に応じて輸液などの対症療法を行います。
5 予防はどうしたらいいの?
現在有効なワクチンはありません。デング熱が流行する地域に出かける際は、蚊に刺されないように工夫しましょう。また、身の回りに蚊を増やさない工夫も行いましょう。
- 戸外に出るときは、肌の長袖・長ズボン・足を覆う靴を着用し、肌の露出を避ける。
- 虫刺され防止薬、殺虫剤を適切に使用する。
- 窓を開けるときは、網戸をする。
- 流行地に行く際は、網戸や空調設備のある設備の整った宿泊施設を利用する。
- 放置してある古タイヤに溜まった水・鉢植えの皿に溜まった雨水・ペットの飲み水などを放置しない。
- 家の中では、花瓶・観葉植物の受け皿・エアコンの受け皿の水を放置しない。
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ヒトスジシマカの写真(国立感染症研究所昆虫医学部)
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ネッタイシマカの写真(国立感染症研究所昆虫医学部)
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6 デング熱の病原体診断はどうするの?
デング熱は病原体・病原体遺伝子・抗原・抗体のうちいずれかを検出することで診断します。福岡県保健環境研究所では3つの方法で検査ができるように準備をしています。
- RT-PCR法
- NS1抗原検出イムノクロマト法
- IgM捕捉ELISA法
7 感染症法での位置づけは?
デング熱及びデング出血熱は感染症法の四類全数把握疾患であり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届けることが義務付けられています。
8 その他関連情報
9 参考資料