| 福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
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私たちの身の回りには、食品の容器やスマートフォン、医療器具などプラスチック製品があふれており、生活のさまざまな場面で使われています。
さて、プラスチック製品には「添加剤」と呼ばれる化学物質が使われていることをご存じでしょうか。添加剤は様々な性能を高めるため、いろんな種類を組み合わせてプラスチック製品へ加えられています。添加剤は、例えばプラスチックを柔らかくしたり、熱や光で壊れにくくしたり、燃えにくくしたりするためにプラスチック製品へ加えられます。添加剤のおかげで、私たちは便利で快適にプラスチック製品を使うことができています。

いろいろなプラスチック製品
可塑剤は、プラスチック製品へ柔らかさを与えるために加えられます。
安定剤は、光や酸素によるプラスチック製品の劣化を防ぐために加えられます。
難燃剤は、プラスチック製品を燃えにくくするために加えられます。
充填剤は、丈夫で熱に強くするために加えられます。また、使用するプラスチックの使用量を減らし、かさ増しするために加えられることもあります。
着色剤は、その名の通り色を付けるために加えられます。
潤滑剤・離型剤は、製造時にプラスチック製品が金型から製品が簡単に外れるように加えられます。
このように添加剤は多様な役割と種類が存在します。代表例と主な用途を下表にまとめました。
| 種類 | 代表例 | 主な用途 |
| 可塑剤 | フタル酸エステル類 | PVC(塩ビ)製品(ホース、ケーブル被覆など) |
| 安定剤 | 熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤 | 屋外製品、自動車部品など |
| 難燃剤 | リン系、臭素系、無機系 | 電子機器、建材 |
| 充填剤(フィラー) | 炭酸カルシウム、ガラス繊維 | 日用品、工業部品 |
| 着色剤 | 顔料、染料 | 包装材、玩具、家電外装 |
| 潤滑剤・離型剤 | - | 射出成形、押出成形 |
3.進められている安全対策
添加剤の中には、人体への影響が心配されているものもあります。例えば、可塑剤であるフタル酸エステル類の一部や、難燃剤である臭素系難燃剤の一部についてはホルモンの働きに影響を与える可能性(内分泌攪乱作用)や、子どもの発達への影響が懸念されてきました[2][3]。これらの懸念を受けて、世界各国で安全対策が進められています。欧州連合(EU)では、「REACH規則」により、添加剤を含む化学物質の管理が行われています[4]。日本では化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)により、添加剤を含む化学物質の安全性を確認し、必要に応じて製造や輸入に規制が設けられています[5]。また、口に触れる機会が多い「食品容器・包装」や「おもちゃ」に関しては食品衛生法により、添加剤などを規制しています[6]。このように健康への影響が懸念される添加剤については、国内外で継続的な監視と規制の見直しが行われています。
一方で、こうした添加剤は、近年進められているプラスチックのリサイクルで問題となる場合もあります。過去には使用されていたものの、現在では有害性が心配されて使用が制限されている添加剤が混ざってしまうと、安全面から再利用できない場合があります[7][8]。このように、添加剤は私たちの生活を便利にする一方で、安全やリサイクルの面で考えていくべき課題にもなっています。

当研究所では、国の研究機関や地方研究所と連携しながら、大気中に存在する安定剤(紫外線吸収剤)[9]や食品に含まれる難燃剤の実態に関する調査研究[10]を行っています。これらの物質が環境や食品中にどの程度存在しているのかを科学的に明らかにすることで、県民の健康を守り、安心して暮らせる快適な環境づくりのための対策へ活用したいと考えています。

