福岡県保健環境研究所
Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
092-921-9940 〒818-0135 福岡県太宰府市大字向佐野39 |
トップページ | 研究所紹介 | 研究概要 | 年 報 | 啓発資材 | リンク集 | アクセス |
トピックス | トピックス一覧へ戻る | |||||||
水生生物の保全に係る水質環境基準の類型指定について ー博多湾流入河川及び大牟田市内河川ー |
環境科学部 水質課 課長 石橋融子 |
水生生物の保全に係る水質環境基準(以下「水生生物保全環境基準」)とは、水生生物及びその生息又は生育環境の保全を目的にした水質環境基準です。水生生物保全環境基準は、水域類型ごとに基準値が設定されています(表1)。また、公共用水域等における検出状況等から、現時点では直ちに環境基準とはせず、知見の集積に努めるべきとされた項目である「要監視項目」についても指針値が設定されています(表2)。福岡県では、平成26年度から魚類等の調査を行い(写真1~3)、平成29年4月7日に博多湾流入河川及び大牟田市内河川について類型を指定しました。表3に類型を指定した河川及びその類型を、図1に類型を指定した河川の場所を示します。今後、これらの河川における基準点においてモニタリング調査を行っていくことになります。
表1 水生生物保全環境基準項目の水域類型及び基準値(河川及び湖沼)
項目
類型 |
水生生物の生息状況の適応性 |
基準値 |
||
全亜鉛 |
ノニルフェノール |
LAS |
||
生物特A
|
生物Aの水域のうち、生物Aの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生息場として特に保全が必要な水域 |
0.03 mg/L以下 |
0.0006 mg/L以下 |
0.02
mg/L以下 |
生物A |
イワナ、サケマス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域 |
0.03
mg/L以下 |
0.001 mg/L以下 |
0.03
mg/L以下 |
生物特B |
生物A又は生物Bの水域のうち、生物Bの欄に掲げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域 |
0.03 mg/L以下 |
0.002 mg/L以下 |
0.04
mg/L以下 |
生物B |
コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域 |
0.03 mg/L以下 |
0.002 mg/L以下 |
0.05
mg/L以下 |
表2 水生生物の保全に係る要監視項目の水域類型及び指針値(淡水域)
項目
類型 |
指針値 |
|||||
クロロホルム |
フェノール |
ホルムアルデヒド |
4-t-オクチルフェノール |
アニリン |
2,4-ジクロロフェノール |
|
生物特A |
0.006 mg/L以下 |
0.01 mg/L以下 |
1 mg/L
以下 |
0.0007 mg/L以下 |
0.02 mg/L以下 |
0.003 mg/L以下 |
生物A |
0.7 mg/L以下 |
0.05 mg/L以下 |
1 mg/L
以下 |
0.001 mg/L以下 |
0.02 mg/L以下 |
0.03 mg/L以下 |
生物特B |
3 mg/L以下 |
0.01 mg/L以下 |
1 mg/L
以下 |
0.003 mg/L以下 |
0.02 mg/L以下 |
0.02 mg/L以下 |
生物B |
3 mg/l
以下 |
0.08 mg/L以下 |
1 mg/L
以下 |
0.004 mg/L以下 |
0.02 mg/L以下 |
0.03 mg/L以下 |
写真1 魚類調査風景
写真2 冷水性魚類(ヤマメ) 写真3 温水性魚類(フナ)
表3 河川及び類型
地域 |
河川名 |
類型 |
博多湾流入河川 |
那珂川 |
上流:生物A
下流:生物B |
御笠川 |
全域:生物B |
|
多々良川 |
全域:生物B |
|
須恵川 |
全域:生物B |
|
宇美川 |
全域:生物B |
|
樋井川 |
全域:生物B |
|
室見川 |
上流:生物A
下流:生物B |
|
瑞梅寺川 |
全域:生物B |
|
大牟田市内河川 |
諏訪川 |
全域:生物B |
図1 類型指定した河川
©2013 Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences. |