表1 主なダニ媒介性感染症

県内における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況

 ※マダニによる感染症に注意しましょう(福岡県)

県内で確認されているマダニの種類

 日本には2科8属47種のマダニが生息しているとされています1)。過去に行った福岡県の調査では、3属7種のマダニが県内で確認されています2)

 ※県内で確認されたマダニの写真

感染を予防するためには

 マダニによる感染症を予防するには、マダニに咬まれないことが最も重要です。マダニが生息している場所に行く際には長袖・長ズボンを着用する、長靴を履くなど、肌の露出を少なくするようにしましょう。また、屋外で活動した後は入浴の際にマダニが付いていないか確認するようにしましょう。
 DEET(ディート)という成分を含む虫よけ剤を使用することも効果的です。

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 マダニは分類学上、クモの仲間になります。脚が6本ある昆虫とは異なり、マダニの成虫、若虫は8本の脚を持っています(幼虫は6本)。

 暖かく過ごしやすい季節になるとレジャーや農作業などで屋外での活動が多くなり、野山や草むらに入る機会が増えます。その際に注意しなければならない生き物がマダニです。マダニは動物の血液を唯一の栄養源としており、動物に付着して吸血します。その際にウイルス、細菌、寄生虫などの様々な病原体を伝搬することが知られています  近年では、2013年1月に国内で初めて重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の患者が報告され、マダニへの関心が高まりつつあります。

約2.5mm

ダニ媒介性感染症

マダニについて

 マダニは屋外に生息している大型のダニです。主に春から秋にかけて活発に活動します。マダニは植物の葉の先端や落ち葉の上などで動物を待ち構え、近くを通りかかった動物に乗り移ります。犬や猫などのペットを飼っている方の中には、ペットの体に付着したマダニを見たことがある方も多いのではないでしょうか。マダニには幼虫、若虫、成虫という成長段階があり、それぞれの成長段階で一度ずつ動物の血液を吸血します。大きさは幼虫で1mm未満、成虫になると2〜3mmあるため十分に肉眼で見ることが可能です。

 ウイルス、細菌などの病原体の一部にはダニや蚊などの吸血性の節足動物によって伝搬されるものがあります。こうした感染様式をとる感染症のことを「節足動物媒介性感染症」と呼んでおり、特にマダニやツツガムシなどのダニ類によって媒介されるものを「ダニ媒介性感染症」と呼んでいます。

写真1 フタトゲチマダニ(左から幼虫、若虫、成虫)

参考資料
[1] 藤田博己ほか:ダニと新興再興感染症 全国農村教育協会,53-68,2007
[2] 石橋哲也ほか:福岡県保健環境研究所年報,36,85-88,2009

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マダニによる感染症に注意しましょう    

 保健科学部 ウイルス課 主任技師 小林孝行

マダニの生息場所

 マダニは屋外の至る所に生息しています。山道、畑、畦道、河川敷など草木が茂っている場所に入る場合には注意が必要です。特に野生動物が多いところ、日陰のところ、湿度の高いところではマダニも多く生息している傾向があります。

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 これらの病原体を保有したダニ類に人が咬まれることによって感染する場合があります。全てのダニ類がこうした病原体を保有しているわけではないので、咬まれたことで必ず発症するというものではありません。