2026年10月21日
大麻に関する法律が変わりました -改正のポイントと当所の取り組みについて-
生活化学課
1. はじめに
大麻草はアサ科の一年生草本であり、日本では古くから繊維や種子を採取する目的で産業的に栽培され、神事や祭事、食用等に利用されてきました。大麻草にはカンナビノイドと総称される化合物群が含まれており、その種類や含量は品種や部位によって異なることが知られています[1]。大麻草は成分や用途によって「薬用型」と「繊維型」の2つに分けられます。薬用型の大麻草には脳に対し精神作用を示す有害なカンナビノイド(例:Δ9-THC)が含まれています。一方、繊維型の大麻草にはΔ9-THCの含量が極めて低い品種が用いられており、主にその茎や種子が利用されています。精神作用を示さない生理活性カンナビノイドとしては、カンナビジオール(CBD)が知られています。CBDは近年、難治性てんかんの治療薬として海外で高い関心を集めています。このように大麻由来成分の医療用途に対するニーズが高まる中、日本では従来、大麻取締法により、大麻から製造された医薬品の使用が禁止されていました。一方、大麻そのものの使用を禁止する規定や罰則(いわゆる使用罪)は明確に設けられておらず、こうした法制度上の課題が、近年問題となっている大麻乱用の拡大の一因と考えられていました[2]。このような背景から、我が国においても大麻の産業における適切な利用を図るとともに、その乱用による保健衛生上の危害の発生を防止するため、「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律(以下、改正法)」が令和5年12月に公布され、段階的に施行されてきました[3]。ここでは、大麻に関する規制の概要や当所の取組について紹介します。
2. 改正法の規制概要について
改正法では大麻から製造された医薬品の使用等を禁止する規定を削除するとともに、大麻等を麻薬として取り扱うこととしました。これにより、大麻の不正な使用についても、麻薬及び向精神薬取締法の禁止規定・罰則が適用されることとなりました(表1)。大麻等の規制は葉や花穂などの特定の部位を対象とした規制から、有害成分を対象とした規制へと変更され、産業用の大麻草に含まれるΔ9-THCの上限値(0.3%)が設けられました。大麻草栽培者には新たな免許制度の下、Δ9-THCの含量が上限値を超えない大麻草の種子等を用いて栽培することが義務付けられました。
表1 法改正の概要

さらに、CBD製品のような麻薬成分を含まない大麻草由来製品による保健衛生上の危害の発生を防止するため、大麻草由来製品に残留するΔ9-THCの限度値が設けられました(表2)。この残留限度値を超える量のΔ9-THCを含有する製品は麻薬に該当し、規制の対象となります。
表2 大麻草由来製品におけるΔ9-THCの残留限度値

3. 保健環境研究所の取組について
当所では令和8年度より、県庁薬務課の依頼を受け、県内で栽培される産業用大麻草の検査を実施しています。検査では、まず乾燥した大麻草を細かく均一にして目的成分を抽出し、分析機器を用いて測定します(図1)。令和8年度はこれまでに2品種の大麻草を対象に検査を実施し、Δ9-THC濃度が上限値以下であることを確認しました。

①乾燥 ②粉砕 ③抽出 ④測定
図1 大麻草検査の概要
また、令和6年度より、県庁薬務課が買い上げたグミやオイルなどの大麻草由来製品の検査を実施しています。令和6年度に12製品、令和7年度に11製品を対象に検査を実施したところ、2製品から残留限度値を超えるΔ9-THCが検出されました(図2)。大麻草由来製品は様々な形態で販売され、市場に流通していることから、今後も継続的に検査を実施し、安全性を注視していきます。

図2 残留限度値を超過した製品[4][5]
参考資料
[1] 花尻(木倉)瑠理ら:大麻問題の現状, Ⅰ大麻とは, p. 7, 1949, (真興交易医書出版部,東京)
[2] 厚生労働省:大麻規制のあり方に関する大麻規制検討小委員会議論のとりまとめ(案)(2026/9/11アクセス)
[3] 厚生労働省:令和7年3月1日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます(2026/9/11アクセス)
[4] 福岡県:残留限度値を超える濃度の麻薬成分が検出された製品について(2026/9/11アクセス)
[5] 福岡県:麻薬、指定薬物を含有する危険ドラッグの発見について(2026/9/11アクセス)